珊瑚寺看板 午後から時間が空いたので、ちょっくら足を伸ばして赤城山の麓にある、珊瑚寺(群馬県勢多郡富士見村石井 1227)へ参詣してきた。『珊瑚寺』という全国的にも珍しい (和歌山西国第十二番 禅曹洞宗 千境山 にも同名の寺がある)、この美しい名称の由来は寺伝によれば、開山期は三鈷寺と称し、日光山を開いた上野国総講師でもあった勝道上人が、大同2年( 807)に創建した。

珊瑚寺 境内図 のちに四百年近くも無住寺で荒廃するが、鎌倉時代初頭に梶原景時の一族(とも云われるが、真相は景時オンナだった?)と伝えられ、尼僧が住寺してから長く尼寺として知られる。 室町時代には八崎城主の再興もあったが再度衰退、文明年間(1469- 87)に再建され禅宗から天台宗へ改宗、その際に裏山に茸が多く自生し盛りの時は、珊瑚礁の如くに成長したことから、当の寺名に改められたと伝えられる。

 赤城山麓に花の名所として知られる古刹珊瑚寺は、山野草・野鳥の宝庫として群馬百景のひとつにも数えられる。珊瑚寺を代表する花は桜だそうだが、地蔵堂参道に群生するつつじや初夏に心字池を彩る睡蓮、秋には可憐な野の花と、四季を通じ訪れる人々をその美しさで癒してくれる。
「東国花の寺百ヶ寺・第三十八番札所」であり、境内にはこの時期なら、ツツジ、桜、ドウダンツツジなど美しい花々が鮮やかに咲き乱れる。 殊に駐車場すぐ脇にある、「心の字池」に映る、花や弁天堂の光景がなんとも見事に美しく、カップルやお年寄りなどの参拝者以外にも、カメラを片手に持った写真愛好家たちが訪れていたのも頷ける。もう少々早く訪れていれば、池に散った桜の花びらが雪のように映え、殊更美しさを増していただろうと思いにも更ける。
他にも、「上州七福神恵比寿尊天霊場」、「ふる里関東路 百八地蔵尊霊場めぐり・第三十五番」にも指定されている。 なだやかに広く、墓地と隣接した境内には、弁天堂・本堂・鐘楼・地蔵堂・稲荷社・板碑(村指定文化財)などがあり、天気も良かったせいで癒しに訪れた介護福祉施設の団体もいた。

珊瑚寺 本堂 駐車場からまずは、緑深い中に建つ山門をくぐり、真っ直ぐに本堂を目指して心経を上げる。本堂のご本尊は、阿弥陀如来。ご真言は、「おん ころころ せんだり まとうぎそわか」 懐かしいでしょコレ? 前に真言(マントラ)を覚えましょうって紹介しましたねぇ。可愛いし、覚えやすいからって。
この本堂に恵比寿尊天も一緒におわす。 鐘楼堂では鎖がかけられ自由に突けなかった。本堂の左脇にあったのが恐らく納経所か? 特に案内も何もなかったが、修繕されたばかりか真新しい建物だった。
珊瑚寺 地蔵堂 本堂から右手へ向かい、対(つがい)の大きな杉の木を見上げながら、奥にある地蔵堂へ。この堂は、江戸時代には前橋藩の祈願所でもあった。現在の堂は、宝暦四年(1754)建立。素晴らしい彫刻と子育て地蔵として崇められ、七五三や初詣では一層賑わう。ここでも、心経と地蔵菩薩真言を唱える。地蔵菩薩のご真言は、「おん かかか びさんまえいそわか」。

珊瑚寺 稲荷神社 すぐ脇には、稲荷神社がある。地図では、近くにある別の神社だと思っていたので、帰りにでも寄って参拝するつもりだったが、この珊瑚寺の境内に稲荷社があった。 鳥居の両脇にはお稲荷さんがいらっしゃったが、朱色ではなく、普通の石の色だった。 頭上を覆うように、見事な真っ赤なツツジが迎えてくれる。デジカメの性能と腕が悪いので、画像ではその美しさを伝えきれないのが、大変申し訳ないほどに鮮やかな色だった。
鳥居から左右に分かれて社へ登る小道があり、仏道に従って右回りに登って行く。持参した、『神拝祝詞 神道大祓全集』をバッグから取り出し、稲荷祝詞を上げた。稲荷祝詞は然して長い祝詞ではない。既に暗誦出来る、天津祝詞と大体同じ程度、むしろ短いかも知れない。 毎日の勤行で上げているにも関わらず、未だ暗誦出来ないのは、覚える気がないという怠慢に相違ない。 と、今書きながら思った。とっとと覚えてしまおう。いちいち分厚い、コイツを持参しなくても済む。

珊瑚寺 不動の滝 今度は左側の小道階段を降りて、地蔵堂の前を合掌して横切り、更に奥の「不動の滝」へ。 可愛いミニチュア版と表現したくなるような、小規模の滝だった。 これは自然の滝ではなく、ガイドパネルによると、石井村の三代吉という信仰深い男が、夢に現れたお不動さまに「境内に滝を造れ」とお告げを賜ったが、工事が難行するとお不動さまが再び現れ、瞬く間に造営してしまったという。
ん? なんじゃそりゃ? 三代吉の立場があれへんがな。 ほな、最初っから自分でやりぃな〜 んなコト云うたら、お不動様に怒られるやろか? ちゅうか、石井村の三代吉って、どこの誰やねん?(笑。 「不動の滝」は、先日も三重院での滝修行で谷川岳の方へ行ったが、なぜ、不動の滝と呼ばれるものが多いのか? なぜ、水掛不動など、お不動さんと水や滝は混合されるのか? どなたかご存知ですか?

珊瑚寺 穴薬師 地蔵堂の周囲には、珊瑚寺七不思議なるガイドパネルが点在する。そのひとつに、弘法大師が穴の中に薬師如来像を刻んだとされる、「穴薬師」がある。古来より、この如来像を移動しようとしても、その夜一晩のうちにこの場所へ舞い戻ってしまうという。(そら、ウソやろ〜) そもそも、以前は「ふぅ〜〜ん、お大師さんも結構、関東まで来られてたんやな〜」と、感心していたが、真言密教と空海の歩いた道そのものを学んでいくに従って、東寺と高野山の造営と真言密教の確立に奔走し、多忙を極めていた彼に、そんな全国各地に池を造ったり、井戸を掘ったり、仏像を刻んでるヒマなど全くなかったかと思われてきて、こうした案内札を見ても安易に信じられず、逆に笑えるようになってきた。 仮に高野聖が吹聴したとしても、それだけ弘法大師のカリスマ性が、尋常ではなかったともこの頃は受け取れてきた。


 「心字池」の中央に弁財天堂がある。赤い太鼓橋の手前には、七福神の石像が脇を固める。池の置くには梵字が刻まれた三つの石碑が立っている。それぞれ、「アク=釈迦如来」、「キリーク=千手観音」、「ソ=弁財天」だったと思う。 画像をアップしたら違うじゃねーか!って、突っ込みはナシ。(笑。
この池に映える木々や花々の眺めは素晴らしく、しばしベンチに座って風景を愉しみながら、虚空蔵求聞持法を小一時間修した。

この珊瑚寺には他にも、南北朝時代の板碑と多宝塔。 ここ富士見村出身で、台湾が日本領土時代に最後の台南市市長だった羽鳥又男氏の、台南市古跡文化財の保存・修繕に努めた功績を称える碑など、見所も多い。 近くに日帰り温泉もある。是非、癒されに訪れ頂きたい、オススメの古刹であった。
珊瑚寺 多宝塔 板碑 珊瑚寺 弁天堂回廊 珊瑚寺 七福神 珊瑚寺 心字池の梵字石碑