天台寺に行って来た。
そう、あの瀬戸内寂聴さんが住職をしている岩手県最北最古の古刹。ここはもう殆ど青森県の手前。
岩手県自体、仙台以外に初めて出かけた。

朝6時45分高崎発〜大宮経由で、
東北新幹線〜二戸まで正味約3時間。9時51分に到着。

さぁ、駅から天台寺までタクシーで20分と寂庵(瀬戸内寂聴さんの京都の庵)のホームページに書かれてたから考えた。

(20分ぐらいなら、自宅から高崎駅ぐらいだ・・・その程度なら歩けるな。倍で40分、3倍で60分・・ゆっくり行っても昼前には着く。きっと廻りに食べ物屋か、テキ屋でもあるだろう。恐らく法話は午後1時頃からだろうから、丁度ゆっくり昼食をとって間に合うな)

そんなワケで、駅にあった近辺地図を片手にテクテクと歩き出した。
駅前の道を西へ向かうと道路が工事で分断されていて、迂回したら少々迷った。歩きの迂回は辛い。四国八十八ヶ所でも歩き遍路だと、こういったアクシデントに間々遭遇するだろう。

散歩をしていた親切なご老人に尋ねると、
「公園が見えたら右、そこがバイパスで、更に500mほど行くとスタンドがあって、その先の信号を右へ行くと、鹿角街道。」と、教えられたその通り素直に歩いた。国道4号線から県道6号線(鹿角街道)へ入る交差点に、「天台寺12.5K」の標識が。
(うう・・ここまででも結構あったのに、ここから12キロかぁ〜)一瞬、怯んだが行くしかない。

ここから、上り坂が増えてきて同時に雨も強くなってきた。頂上付近では道路の上に川が流れているようで、水溜りを避けて通れなかった。草鞋をはいた足よりも、肩から背負ってるパソコンが心配だった。目の前に見えた、トンネルの中へ急ぎ、極力濡れないように処理する。



実は、遠い移動中に仕事しようと持ってきたが、東北新幹線はトンネルが多く、全く使えなかった。ただ、重いだけ。駅を降りるまで歩く気は毛頭なかったからだ。だから、わらじ(笑


初めて歩く距離。どっぷり車の生活感覚に浸っていたのと、渋滞する道路での20分と田舎での20分の大差に気がつかなかった。
単純に考えれば分かるような物なのに、全く馬鹿である。
そもそも、自分の歩行速度もなにも分かってない。

車で20分=60km/hで走る⇒20Km進む
徒歩だと=4km/hとして⇒5時間!


トンネルを抜けて、しばらくして小雨になった。時間はどんどん迫ってくるが、まだまだ天台寺の案内すら見えない。
(間に合うのか?)少々不安に思いながら、急ぎ足でひたすら歩いた。後、わずかのところまで来て、看板を見間違い、畑の中の足場の悪い農道を彷徨い更にロス。方向は分かってたので、あぜ道を縫うようにショートカットして、やっと上り口まで辿り着く。
わらじを履いた足は、既にどろどろ。

団体を乗せた観光バスが、次々と追い抜いていく。
(一体、どれほどの人が天台寺へ行くんだろう・・)
エンジンも高鳴る、上り坂をただひたすら登り、やっと寺の入り口に着いた。バスがUターンを繰り返す乗り場から、寺へと続く参道が更に上に伸びていた。
ゆっくり昼飯どころではない。食い物屋もない。どんどんバスから降りた団体もここからは、歩きで登っていく。自販機で買った水を一気飲みして一息つくと、団体に混じりながら雨と汗でビシャビシャになった作務衣のまま、参道を登る。
けっこう〜キツイ。車は通れないようだ。寂聴さんは、あの歳でこの坂を上ってるのか?


境内は、とっくに人人人で溢れていた。
結局、10時前から無謀に歩き出して、着いたのは13時15分。3時間以上も歩き続けたのは初めてだった。結果、これが初の歩き遍路になった。